基礎の塗装が大事な理由とは?基礎のメンテナンスと費用の相場
住宅の見た目を決める主役といえばやはり外壁や屋根ですが、建物としての構造を支えるもっとも大切な部分は『基礎』です。
基礎は決して目立つ部分ではありませんが、地盤の上で重たい住宅をどっしりと支える非常に大切な役割を果たしています。
ところで、あなたのマイホームの基礎は、ちゃんと塗装されていますか?
もしかして、コンクリートを打ちっぱなした状態になっていませんか?
または、随分と前に塗装しただけで、外壁や屋根はちゃんと塗装しているのに基礎の塗り替えを省いて色あせていませんか?
きちんとメンテナンスをしていないと基礎がダメになってしまい最悪の場合、家が傾いてしまうこともあります。
しかし、メンテナンスをしっかりと行うことで住まいを長持ちさせることができます。
今回は、意外と軽視されがちな「基礎の塗装」について、なぜ基礎の塗装が必要なのかの理由や、基礎のメンテナンス方法、工事費用の相場などを解説します。
>>外壁塗装の相場は?単価、塗料、坪数別の価格表まとめ
「基礎の塗装」は住宅を長持ちさせるためには必須!
マイホームを注文住宅で一から建ててもらった方なら、住宅が作られていく様子を段階的に見学した機会があるでしょう。
地鎮祭をしたあとは、地面に木枠を建ててコンクリートを流し込み、住宅を支えるベースを作っていたはずです。
この部分が『基礎』です。
業者によってはこの部分を『巾木(幅木・はばき)』と呼ぶこともありますが、正確には巾木は室内の施工部分を指すため、本来は「基礎=巾木」ではありません。
では、なぜ基礎を塗装する必要があるのでしょうか?
こんな言い方をしては悪いかもしれませんが、どうせ半分は土に埋まっているような部分ですから、あまり見た目にこだわる必要なんてないように感じますよね。
ところが、基礎を塗装することは「住宅を長持ちさせるため」には必須です。
塗装によって基礎をコーティングし水分から守る
基礎は、住宅という超重量物を支える都合上、コンクリートと鉄筋を組み合わせて作られます。
最初に『捨てコンクリート(捨てコン)』と呼ばれるコンクリートを地盤の上に流し、その面を水平にした後に鉄筋を組みます。
その上からさらにコンクリートを流し込むことで、鉄筋が芯棒となってコンクリートをさらに強固なものにしてくれるという理屈です。
つまり、基礎の表面はすべてコンクリートとなるわけですが、コンクリートは10%程度の吸水率を持っています。
雨などの水分を吸収したコンクリートは、吸水と乾燥によって膨張・収縮を繰り返すことでひび割れが発生、耐久力の低下を招きます。
そこで、基礎に塗装を施してコーティングすることで、水分の吸収を防ぎ、コンクリートの劣化を防ごうというわけです。
基礎が劣化すると何が起きるのか?
もし基礎を塗装せず、水分の吸収を防がなかったら、どんな事態が起きるのでしょうか?
まず、水分を吸収したコンクリートはひび割れを起こしやすくなります。
コンクリートのひび割れは『クラック』とも呼ばれ、毛のように細いひび割れのことを『ヘアクラック』と呼びます。
基礎部分を塗装しないと、このヘアクラックがいくつも発生してしまい、美観を損ねてしまいます。
また、あまりにも基礎の劣化が進んでしまうと大きなクラックが目立つようになり、最悪のケースでは住宅が傾いてしまうことがあります。
「基礎の塗装をしなかったから住宅が傾いた」とまで極端な事例はありませんが、施工不良やもともとの地盤の問題、地震などの災害によって住宅が傾いてしまうトラブルは現実に発生しています。
基礎の劣化を未然に防ぎ、住宅が傾くなどといった重大なトラブルを回避するためには、基礎の塗装は必須だといえるでしょう。
基礎を塗装すると住宅が引き締まって見える!
新築のときはあまり気になりませんが、外壁塗装の塗り替えでは基礎だけを塗装していないと少し間の抜けた感じになってしまいます。
住宅の外壁・屋根を塗り替える際に、外壁の広い面や屋根だけを塗装して、基礎の塗装を重要視しない塗装業者がいますが、一部でも塗装していない箇所があると「締り」がありません。
基礎は土に触れていて、しかも雨水のはね返りなどがあるため非常に汚れやすい箇所です。
上はピカピカ、下は土で汚れている…。
これではせっかく外壁塗装をしても引き締まった印象にはなりませんよね。
「どうせ汚れてしまうので」と塗装しないよりも、汚れが目立つ箇所だからこそと考えて美しく塗装してコーティングするべきでしょう。
基礎までしっかりと塗装されている住宅は、見た目にグッと引き締まって見えます。
外壁塗装で住宅のイメージを引き締めたいという方は、ぜひ基礎も塗装してもらうべきです。
知っておきたい基礎の構造
一口に『基礎』といっても、建物に使用される基礎には大きく分けて3つの種類があります。
- ベタ基礎
- 布基礎
- 直接基礎
ここでは、基礎の種類別の特徴を一覧表で見ておきましょう。
基礎の種類 | 性能 | 特徴 | ||
---|---|---|---|---|
コスト | 安全性 | 湿気 | ||
ベタ基礎 | △ | ◎ | ◎ | ・捨てコンの上に鉄筋を網目状にしきつめる ・防湿シートで地面全体を覆うため、地面からの湿気が入りにくい ・床下は全体がコンクリート層になる ・地盤が柔らかい場所では必須の工法 |
布基礎 | ◎ | △ | △ | ・住宅の壁に沿って逆T字型の鉄筋コンクリートを配置した工法 ・床下は地盤がむき出しになっている箇所がある ・古い住宅では布基礎が多い |
直接基礎 | △ | ◎ | △ | ・柱の下にだけ独立した基礎を設ける工法 ・基礎と基礎の間に鉄筋コンクリートの地中梁を設けることで強度を増す ・地盤改良などの工事を伴うことが多い ・ビルなどに用いられるため住宅ではあまり採用されない |
一般住宅でも1棟の重量は100トンを超えるといわれているくらい、住宅は非常に重たい構造物ですから、基礎はとても大切な役割を担っています。
もっとも耐久性が高いといわれており、多くの住宅で採用されているのが『ベタ基礎』です。
最近の注文住宅では、ほとんどがベタ基礎によって施工されています。
古い住宅や、建築費用を節約して建てられた住宅では『布基礎』が採用されていることがあります。
地盤の強度に問題がなければ、布基礎でも十分に住宅を支えられますが、ベタ基礎と布基礎とでは、湿気対策に大きな差があります。
ベタ基礎
防湿シートの上にコンクリートを流し込むため、床に湿気が伝わりにくく、シロアリの発生も防御できます。
布基礎
防湿シートを張っていないことが多いため、湿気が伝わりやすいだけでなく、地面からシロアリが上がってくるおそれがあります。
直接基礎
柱がある点だけに独立した基礎があり、基礎と基礎の間を地中梁で補強することで超重量に耐える力を持ちます。
独立した基礎の下には支持杭を打ち込むため、原理上はもっとも強度が高い工法であり、住宅に使用することはほとんどありません。
基礎の塗装に使用する塗料
基礎の塗装には、基礎が持つ役割や性質にマッチした塗料を使う必要があります。
一体、基礎にはどんな塗料を使えば良いのでしょうか?
基礎の通気を妨げない塗料を使用する
基礎には、床下の通気性を保つ役割があります。
あなたのマイホームの基礎を見てみましょう。基礎には、何か所かの通気口があるはずです。
基礎に通気口がないと、地面から上ってきた湿気の逃げ道がなくなってしまうため、基礎には必ず通気口が設けられているのです。
ただし、全体で数か所しかない通気口だけでは、床下の湿気を逃すことはできません。
実は、基礎自体が呼吸をすることで湿気を外へと逃しています。
すると、基礎に通気性がない塗料を塗ってしまうと、基礎の呼吸が阻害されてしまい、余計に湿気がこもってしまいます。
基礎には必ず通気性を確保できる塗料を使用するべきなのです。
たとえば、塗料メーカーの最大手である日本ペイントが販売している『水性ケンエース 』は、水性と溶剤系を混合させたエマルジョン系のアクリル塗料で、非常に高い透湿性を有しています。
エマルジョン系塗料は、本来はシンナーで希釈するべき成分を水で希釈することで、独特なニオイや刺激を抑えつつ、水が蒸発すると硬い塗膜を形成する塗料です。
外気に触れる部分は硬い塗膜によってしっかりとコーティングされていながら、基礎内にこもった湿気は外に逃してくれるという優れた塗料です。
基礎専用の塗料も存在する
基礎の通気性を確保する塗料のほか、各塗料メーカーは「基礎専用」や「コンクリート塗装に最適」とした塗料を販売しています。
ここでは、基礎専用・基礎に最適な塗料を一覧でまとめました。
メーカー | 製品名 | 特徴 | URL |
---|---|---|---|
日本ペイント | 水性シリコン透湿ガード | ・吸水を防ぎ湿気を通す ・シリコン、フッ素の保護膜を形成しコンクリートの劣化を防ぐ |
リンク |
エスケー化研 | ベースプロテクト | ・透湿性が高い ・微弾性でクラックを埋める ・アクリルシリコン樹脂で高耐久を誇る |
リンク |
菊水化学 | 基礎ガード | ・微弾性でクラックを補修する ・ポリマーセメント系で自然な仕上がりになる |
リンク |
アステックジャパン | ベースガード | ・ポリマーセメント系で耐用年数は12年 ・弾性がありクラックを補修する ・アルカリ性を持ちコンクリートの劣化を防ぐ |
リンク |
基礎専用の塗料や基礎塗装に最適な塗料を使用することで、基礎の劣化を防ぐだけでなく通気性を確保できます。
基礎の塗装を省いてしまうケース
ここまでの解説で「基礎の塗装も大切だ」ということは十分に伝わったかと思いますが、それでも基礎の塗装をしない方が少なくありません。
なぜ「基礎は塗装しなくても良い」という認識があるのでしょうか?
基礎の塗装を省いてしまうケースについて考えてみましょう。
パック料金に入っていない
外壁塗装の業者によっては、外壁・屋根の塗装がひとつのプランとして価格が決まっている『パック料金』を提示している場合があります。
パック料金の多くは、基本となる外壁・屋根の塗装費用は標準プランとして組み込まれていますが、軒天井や破風、雨樋、ベランダ、基礎といった付帯部分はオプションになっています。
すると、標準プランのほか、実際に触れることが多いベランダや目に見えやすい軒天井・破風・雨樋は追加しても、地面に近い基礎は目立たないのでつい省いてしまう方が多いのです。
一見すると破格の工事費用になるパック料金のプランですが、重要な部分でも平気で省略されていることがあるので要注意でしょう。
塗装業者が「不要だ」と説明した
実は、基礎の塗装に関しては外壁塗装業者の中でも「塗装するべきだ」という意見と「塗装は不要だ」という意見で考え方が対立しています。
依頼主の方が「基礎も塗装して欲しい」と要望しても、塗装業者が「基礎は塗らなくても大丈夫ですよ」と断るケースがあるのです。
「基礎の塗装は不要」という塗装業者は、次のように考えています。
- 地面に接していて、塗装してもすぐに汚れる
- 地中に埋まっている部分もあるので、中途半端に塗装する必要はない
- 道路が近いなどの条件があると、地面の振動で塗装が剥離するおそれがある
- 基礎の通気性を塗膜が妨げてしまう
数多くの現場を経験したうえでこのような結論にたどり着いた塗装業者も多いはずなので、一概に「不要という意見は間違っている」ともいえません。
しかし、汚れやすいからこそ防汚性を高め、振動の影響を受ける場所だからこそクラック防止のために塗装する必要があるとも考えられます。
また、基礎の通気性を妨げない透湿性が高い塗料も販売されているので「基礎塗装=通気性を妨げる」というわけではありません。
ここでは、美観を高めるためだけでなく、住宅の重要な部分である基礎の耐久性を向上させるためにも、基礎の塗装は必要だと述べさせていただきます。
基礎の塗装、費用相場はいくら?
基礎の塗装費用は1㎡あたり3,500~4,000円が相場です。
基礎塗装のみを単体で依頼した場合、一般的な住宅では5~8万円程度になるでしょう。
基礎塗装の費用には、次の作業が含まれます。
- 高圧洗浄
- 下地処理と壁周囲の土の除去(おおむね10cm程度)
- 養生
- 塗装(材料費込み)
- 養生の撤去と清掃
塗装業者によっては外壁塗装の一部として個別に費用を立てない場合もあるので、見積もりの段階でしっかりと相談しておくのがベストです。
基礎塗装もしっかりと施工してくれる塗装業者を選ぼう!
あまり目立つことがない基礎の塗装ですが、実はとても重要だということはしっかりとご理解いただけたでしょう。
外壁塗装の塗り替えリフォームを依頼する場合は、ぜひ基礎塗装もしっかりと施工してくれる塗装業者を選びたいものですね。
外壁塗装パートナーズでは、基礎塗装も含めてあなたのマイホームに最適の塗装プランを提案できる優良業者をご紹介しております。
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また、ご紹介させていただく塗装業者はすべて中間マージンがかからない直接施工の業者で、あなたの街でも評判・口コミが良好な業者ばかりです。
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