サイディング張り替えの費用相場
外壁に使われている壁材には沢山の種類があり、サイディングはその中の1つです。
簡単に説明すると、サイディングとは建物の外壁に貼る仕上げ用の板材のことです。
今回はサイディングの張り替えの費用相場やメリット・デメリット、おすすめのサイディング材について解説します。
サイディング張り替えの費用相場
採用するサイディングボードの材質や面積を抑えれば100万円程度から工事可能ですが、一般的には200万円前後のリフォーム費用がかかると心得ておきましょう。
また、サイディング外壁の張り替え工事では「新たにどの材質のサイディングボードを採用するか」によってリフォーム費用が上下します。
サイディングボードの種類や特徴、価格などをまとめてみました。
種類 | 特徴 | 張り替え費用(1㎡あたり) |
---|---|---|
窯業系サイディング | ・セメントと繊維質が原料 ・もっとも広く使用されている ・耐用年数は30年程度 ・吸水性があり塗装の塗り替えが必須 |
5,000円~8,000円 |
金属系サイディング | ・ガルバリウム鋼板などの金属板を使用 ・モダンな印象に仕上がる ・耐用年数は30年 ・軽くて薄く不燃性が高いが断熱性はない ・カバー工法に採用されやすい |
6,000円程度 |
木質系サイディング | ・本物の木材を使用 ・断熱性に優れているが耐火性がない ・防水性を高めないと腐ってしまうため塗り替えが重要 |
6,000~10,000円 |
樹脂系サイディング | ・プラスチックでできている ・軽量で変質しにくい ・プラスチックに色の成分を混ぜて成形しているので色あせしにくい ・紫外線に弱いので塗り替えが必須 ・海外で普及しているが国内では施工できる業者が少ない |
9,000円程度 |
サイディングの材質によって1㎡あたりの施工費用に3,000~4,000円程度の差があります。
たとえば建坪が40坪の住宅であれば、外壁の面積はおよそ160㎡になるので、サイディングの材質によっては単純計算で38~64万円の差が生じることになります。
サイディングにはカラー・模様のパターンにさまざまな種類があるので、ぜひこだわりのセレクトで個性たっぷりに仕上げたいところですが、こだわりすぎると予算オーバーになってしまう点には注意が必要でしょう。
ここまでサイディングの費用について解説してきましたが、実は張り替えをしなくても安くメンテナンスできる方法が他に2つあります。
どんなメンテナンス方法なのか確認していきましょう。
サイディング張り替えの時期の目安は?
壁の張替えには決して安くない費用がかかります。だからこそなるべく時間が経ってから張り替えたいと思う方も多いでしょう。
しかし、壁の張り替え時期が遅すぎると壁材以外の部分に劣化の影響が及ぶ可能性があるため、劣化が進みすぎる前には張り替えたい所です。
そこでまずはサイディングの張り替えを行う時期について、タイミングや劣化の関係性などの目安について解説します。
張り替えのタイミング
まずは張り替えのタイミングについて解説します。
張り替えのタイミングはさまざまで、耐用年数を元にしたり、劣化具合を元に張り替えた方が良いタイミングがあるなど、その時の状態によります。
大ざっぱな目安としては、25年がサイディング張り替えのタイミングと言えます。
これはサイディングの耐用年数に対し、一般的な環境における劣化具合や手入れを考慮した年数です。
そのため、サイディング材にあまり適していない環境の場合や手入れを怠っている場合、逆にサイディング材に影響がほとんどない環境やしっかりとしたメンテナンスを行っていた場合は、25年経つ前に張り替えが必要であったり、逆に30年近く張替えが不要であったりと、数年単位でタイミングが変動します。
劣化症状によって時期は変わる
上記でも触れたように、基本的には劣化しているかどうかで張り替え時期は大きく変わってきます。
劣化がほとんど見られない、ひび割れも無い綺麗な状態であれば、まだまだ張り替えなくても大丈夫です。
逆に壁がボロボロと剥がれるような劣化状態では、早急に張り替えが必要であると言えるでしょう。
具体的な状況や劣化の具合は専門的な知識や経験が必要なため、素人目では正確な状態まではわかりません。
それでも、下記で解説しますが、セルフチェックである程度の劣化具合は調べることができるため、頃合いを自分で測ることは可能です。
そのため、劣化症状を見て業者に相談し、張替えが必要かどうかを聞いてみるのも良いでしょう。
遅すぎると手遅れになりますが、早すぎてもメリットは特にないため、焦らないようにしましょう。
サイディング張り替えのセルフチェック
サイディング外壁の張り替え時期をセルフチェックする方法を紹介していきます。
次に上げるポイントにいくつ当てはまるのか、マイホームの外壁をセルフチェックしてみましょう。
①新築から20年以上が経過しているか?
②見た目にひび割れや剥がれがあるか?
③反りかえったり浮いたりしていないか?
④手で触れたときにチョーキングがあるか?
⑤室内に雨漏りや水漏れ、結露はあるか?【要注意!】
⑥サビが広がり朽ちていないか?(金属系サイディングの場合)
この中に該当する症状が0~1つだけの場合は、まずは大きな心配をする必要はありませんが、一度プロの診断を受けてみるべきでしょう。
該当する症状が2つであれば、塗装の塗り替えやカバー工法を検討する価値があります。
3つ以上であれば張り替えによるリフォームでしか対応できない可能性が高くなります。
では、それぞれの症状について解説していきましょう。
張り替えのメリット・デメリット
メリット:外壁の長寿命化
デメリット:費用がかかる、工事も長時間かかる
続いて、張替えを行うメリットとデメリットについて解説していきます。
まずメリットについてですが、これは当然新品同然の状態に戻すことができるため、更に長い間建物を維持することができるということになります。
外観も劣化によりボロボロな古臭いものから、新築のような綺麗なものになります。
デメリットとしては、まずかなりの費用がかかるということが挙げられます。
ローン支払いなどでタイミング的な負担を軽くする方法こそありますが、200万円近くの決して安くない出費はかなりの負担になるでしょう
他にも、張り替え工事自体が大掛かりな工事であるため、施工中は騒音が続き、窓を開けたりすることもできなくなります。
工事には長期間かかり、その間窓を開けることができず、場合によってはエアコンの使用も制限されることも。
夏場の工事期間は外出したり、熱中症にならないような工夫が必要になります。
張り替え・カバー工法・外壁塗装はどれがお得?
続いてサイディングの張り替えとカバー工法、外壁塗装を価格面・メリットデメリットの比較を行っていきます。
基本的には特定の方法が絶対的にお得というわけではなく、状況に応じて適した方法を選ぶことができれば損をしない、と言えるでしょう。
張り替え
まずは張り替えから解説します。外壁の張り替えの費用相場は200万円以上になります。
張り替えが必要な状態になると他の2つの方法はとれないため、基本的に安く済ませたい場合は他の方法をとり、25年近く経って補修だけでは維持できなくなった際に張り替えを行うことになるでしょう。
カバー工法
カバー工法は重ね張りとも言い、その名の通り新しい壁材を上から重ねることで補修を行うという工法です。
既存のサイディングを撤去しないため、撤去費用などが抑えられるので価格は張替えよりも安く済みます。更に壁が二重になることで防音性や断熱性が向上します。
しかしデメリットも存在し、まず壁が重くなるため耐震性が低下するほか、既存のサイディングにはほとんど手を加えないため、内部が腐っていたりするとそのまま侵食が進んでしまう点が挙げられます。
他にも内部のメンテナンスができなかったり、カバーに使うものは金属系のものしか選べないといった問題もあります。
外壁塗装
外壁塗装は塗料を使ってコーティングを行い、外壁の保護やひび割れを補修する工法です。
価格はカバー工法や張替えよりも安く、おおよそ半額近くになります。価格が安く、かつ小さいひび割れや表面上の劣化であれば十分補修できるため、基本的なメンテナンスは外壁塗装で行います。
しかし、外壁材そのものの劣化を解決するほどの補修は行えないため、劣化が進んだ状態では焼け石に水程度の効果しか得られず、大きな破損や亀裂では外壁塗装は行えないといった問題も存在します。
これら3つを比較したうえで、お得に利用するのであれば、
①軽度のひび割れや定期的なメンテナンスは外壁塗装を行う。
②中期や後期辺りの、張り替えを行うほどでもない劣化にはカバー工法を行う。
③目安である25年前後で張替えが必要なほど劣化していたり、もっと長く使う予定であれば張り替えを行う。
というように、状態によって使い分けていくと良いでしょう。
張り替えにおすすめのサイディング材は?
サイディング材にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴があります。
価格で決めるか、性能で決めるか、はたまた塗料などの相性で決めるのかなど、適したサイディング材を選ぶことで長持ちするかしないかが決まるでしょう。
ここからは張り替えにおすすめのサイディング材をご紹介します。
窯業系サイディング
窯業系サイディングとは、日本で最も普及しているセメントと繊維を用いたサイディング材です。
安くて加工しやすく、デザイン性も高いと三拍子揃った、シェアNo.1なだけある優秀なサイディング材です。
しかし、コーキング処理が必要なため、外壁だけでなくコーキング部分のメンテナンスも必要で、サイディングそのものに問題がなくともコーキング材に問題が出た場合には補修が必要になります。
シェアNo.1なため、どの業者でも取り扱っているだけでなく、経験も豊富なのでミスが少ないというのも隠されたメリットと言えるかもしれません。業者探しの際に制限されないなど、張り替えを検討する時点での制限が少ないのも魅力です。
金属系サイディング
金属系サイディングとは、文字通り金属製のサイディングです。
合金や銅板などを使ったサイディングで、高いデザイン性と耐久性・耐震性が特徴です。
錆止め処理も施されているため、錆にも強いです。
ただし、初期費用やメンテナンス費用が高くなりがちであり、錆止めをしているとはいえ錆びないわけではなく、一度錆びついてしまうと更に補修にお金がかかってしまうというのが欠点です。
窯業系ほどではありませんが、No.2と言えるほどのシェアを誇るため、こちらも業者探しなどの制限を受けず、施工時のミスも少ないため扱いやすいサイディング材と言えるでしょう。
樹脂系サイディング
樹脂系サイディングとは、日本よりも北米などの寒い地域でシェアの高いサイディング材です。
寒い地域で幅広く利用されているだけあって、寒さに強いのが特徴です。
ただし、日本の場合には四季がはっきりしている関係上、一年を通して寒い地域というのは少なく、主に北海道や東北地方といった限定的な地方でのみ推奨されています。
加工できる業者も限られているうえ、価格も高くなりがちなため、寒冷地以外で樹脂系サイディングをあえて選ぶメリットはあまりないと言えるでしょう。
逆に、北海道や東北などに住んでいる方は樹脂系サイディングをおすすめされる場合が多く、取り扱える業者も比較的容易に見つかるでしょう。
木質系サイディング
木質系サイディングとは、木材を加工して耐熱性や虫・災害に対しての耐久性を向上させたサイディング材です。
高い断熱性に木の温もりを感じることができるようなデザイン性と、一枚板と複数の板を組み合わせた集成材を使い分けることができるといったメリットがあります。
ただしデメリットも多く、まず腐食や火に弱いという点が挙げられます。
耐火性や防腐処理などの加工を施しているとはいえ、元が腐食しやすく燃えやすい木材である以上、どうしても他のサイディング材より弱くなってしまいます。
また、取り扱っている業者も少なく、価格も高い点がデメリットと言えるでしょう。
木製という唯一無二の特徴があり、断熱性の高さも相まって特に暑い地域に適しています。
ALC
ALCとは、「Autoclaved Lightweight aerated Concrete(オートクレーブ養生した軽量気泡コンクリート)」の略称であり、内部に気泡を含んだコンクリートのことです。
かなり割り切った性能をしており、軽量で断熱性や耐火性に優れている代わりに、耐水性が皆無で塗料に依存しているといった特徴があります。
水に弱くパネル同士のつなぎ目が多い関係上、メンテナンスを欠かしたり劣化してしまうと、つなぎ目部分から水が入って劣化してしまうというのもデメリットでしょう。こちらも価格が高いという問題があります。
総じてデメリットを覆すほどの大きいメリットもあまり無いため、あえて好んでALCを選ぶ意味はあまり無いと言えるでしょう。
タイル
最後にタイルですが、タイルは石や土を焼いて作った素材であるため、経年劣化に強く塗装による防護もあまり必要ないというのがメリットです。
また、レンガ積みのようなデザインは高級感を感じ、デザイン性も優れていると言えるでしょう。
ただし、パネル同士をコーキング材でつなぐ関係上、他のサイディング材よりもコーキング材の割合が大きく、塗装によるメンテナンスこそ不要ですがコーキング材の入れ替えは必要なため、結局メンテナンスが大幅に減るというわけでは無く、初期費用も高めです。
サイディング張り替えの注意点
サイディングの張り替えを行う際の注意点について解説します。
まず、張り替えるタイミングですが、早すぎても勿体ないと言えますし、遅すぎると張り替えても手遅れであるため、適切なタイミングで張り替えられるようにしなければならないといった点が挙げられます。
25年という目安を元に、これまでメンテナンスを欠かしていないか、大きな災害によって住宅に被害が出ていないかなどを思い返し、適切なタイミングを選べるように注意しましょう。
また、張替えは大規模工事になるため、長期間工事が続き、その間日中の工事音と窓を開けることができないという問題に付き合わなければなりません。
そして時間がかかる仕事というものは後回しにされやすく、繁忙期に依頼すると工事の開始が大幅に遅れる可能性があるという点にも注意が必要です。
他にも、サイディング材によっては取り扱っている業者が限られるという点があります。
取り扱っていても経験している人材が少ない場合は、建材の違いによる知識が不足していて施工ミスをしてしまう可能性もあります。
そのため、建築時に使ったサイディング材を取り扱っている業者を事前に把握しておくなど、業者選びがスムーズになるように事前に把握しておくことが重要です。いざ張り替えようと業者を探してみた際に、住んでいる近辺に業者がいないとなっては余計な手間が増えてしまいます。
サイディング張り替えの優良業者の選び方
最後にサイディング張り替えを行う優良な企業の選び方について解説しましょう。
第一にきちんと事前に現場に来て状態の確認を行ってくれる業者であることが大事です。
本当に張替えが必要な状態かを調査したうえで、正確な判断と適切な仕事ができるかを判断するためにも、複数の業者を比較し、話をしましょう。
次に見積もりが正確かつ内訳がしっかりしているかどうかです。ちゃんとしている業者であれば見積書もしっかりと細かく内訳が書かれています。
逆に悪徳業者や手抜き工事をするような適当な業者の場合は、大ざっぱな見積書だったり、内訳があえて書かれていなかったりもします。
他にもその業者の評判や実績を調べるのも判断材料として有用でしょう。
以上の点を踏まえた上で、安さなどに釣られないように気をつけておけば優良業者を見つけることができるでしょう。